GOLDEN AGE ~追跡屋TAG~

自作の連載小説をあげていきます。

2018-02-17から1日間の記事一覧

022 別れ 【第一章 完】

——弔う。 そんな言葉は、自分には縁遠いものだと思っていた。 いや、実際に昨日まではそうだったのだろう。 朝食を作り、両親を見送って、妹と学校へ行き、クラスメートと雑談し、夕食の買い出しをして、だらだらと時間を潰して、なんとなく眠りにつく。 そ…

021 柏木という男

説明を聞いてアネサンボスはしばらく黙っていたが、「いくつか質問するぞ。一つ目、イツキはどこに行った?」と訊いてきた。「さあ。別の男に追いかけられて、トンネルから出て行った。その後の行方は知らない」「二つ目。事故のニュースはさっきアタシも見…

020 REVERENCE

生暖かく湿った風が頬を撫でる。 地中深く閉ざされたこの空間の、一体どこから風が吹いてくるのだろう。 翼斗は二人の男について歩いていた。 看守に連れられて死刑台へ向かう囚人の気分だった。 どこへ連れて行かれるのか分からなかったが、刹那を背負った…